自然と経済価値/オフィス緑化の投資対効果

オフィスの緑を投資として説明するための数字は、その大半が欧米で先行してきた研究のものです。それを日本で働く人を対象に測り直そうという研究活動が、2026年9月16日に発足しました。測定はこれからで、2026年はエビデンスの蓄積を始める年とされています。
フラワーとグリーンのECを運営する Beer and Tech が、三菱地所と連携して始めた「Green Value Lab」です。オカムラ、マクニカ、日本特殊陶業、英国で職場のウェルビーイングを専門とする robertson cooper が協力企業として参画しています。東京都の事業(TIB CATAPULT)の一環として運営される「Global CityTech Bridge」の2026年度採択プロジェクトにも選ばれ、成果は2027年2月に発表予定とされています。
発表文が背景として挙げている数字は3つです。いずれも既往研究からの引用で、この取り組みが測ったものではありません。
・自然の要素を取り入れたオフィスで、11〜14%の賃料の上乗せが観測されている(海外のREIT研究ほか)
・植物を入れたことで生産性が15%向上した(英国のオフィスでの実験・2014年)
・効果が最も高まるのは緑の量が10〜15%前後で、増やしすぎると逆効果になる(2021年の研究ほか。発表文に国の記載はありません)
そのうえで発表文自身が、これらの研究の大半は欧米で先行してきたものであり、いま必要なのは国内の経営課題に直結するエビデンスだ、と書いています。末尾には、記載の試算は外部研究にもとづく概算で個別の効果を保証しない、という注記もあります。
初年度の問いは3つ挙げられていました。
・欧米で示された効果は、日本のオフィスワーカーにも再現されるか
・効果を統合した設計指標「Green Value Score」は構築できるか
・日本の職場文化を読み解いたとき、グリーンはどの経営課題に関わり得るか
私が面白いと思ったのは、3つ目です。ビジネス人類学者を迎えて、「落ち着く」「心地よい」といった言葉が何を指すのかを記述し、数値と現場の体験を結びつける、と書いてあります。効果があったかの手前にある、なぜそう感じたのか、どのような条件のもとで意味を持つのか。その工程が欠かせない、と。
測って共通言語にするという話は、たいてい数字を作ったところで終わります。その数字が現場の言葉と何で結ばれているかまで工程に入れているのは、あまり見ない形だと思いました。数字を引くときは、どこで誰がどんな条件で測ったものかを先に確かめる。当たり前のようで、緑の話では抜けやすいところです。
🔗 発表(株式会社Beer and Tech)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000013759.html