市民参加のNbS×担い手の体制

2026-09-26

市民参加のNbS×担い手の体制 図版1

近畿地方で里山の保全活動をしている72団体に、新しい協働の場に参加したいかを聞いた研究が、2026年9月に J-STAGE で公開されました(計画行政 49巻3号、京都大学などのグループ)。協働の場とは、里山や里海に取り組む団体・企業・大学が情報交換や交流をする取り組みで、京都大学とイオン環境財団のプロジェクトが用意したものです。

参加したいと答えたのは約6割(59.2%)。興味深いのは、何と関連していて、何と関連していなかったかです。

この調査では統計的な関連を確認できなかったもの
・設立年、スタッフ数、スタッフの平均年齢
・後継者の育成、ミッションの達成、財源と支出のバランスについての認識
・財源確保の工夫

関連が見られたもの
・中心的な人物の人数(参加したい割合は、1人の団体で25.0%、2〜3人で66.7%、4人以上で76.5%)
・「会員が増えれば」「財源が増えれば」やってみたいことがあるか
・団体を続けていくことへの意向や見通し(「団体を持続させたい」など3項目)
・フォーラムや交流会に出展した経験

この調査では、スタッフ数や財源と支出のバランスの認識などに有意な関連は確認されず、将来やってみたい活動と中心的な担い手には関連が見られました。著者らはこれを、「何を展開したいのか」という活動の志向と、それを進めていける人の体制のほうが、参加の判断とより密接に関連している可能性として解釈しています。

私が思ったのは、企業や行政が協働の相手を探すとき、つい規模が大きく財政の安定した団体から声をかけたくなるけれど、分かれ目はそこではないのかもしれない、ということでした。中心人物が1人の団体で参加したい割合が低い理由までは、この研究では分かりません。ただ、そういう団体が抱えている「やってみたいこと」を協働の場の側がどう拾うかは、里山を広く支えるうえで設計の論点になりそうです。

なお、聞いたのは参加の意向で、実際に参加したかどうかではありません。著者らも、因果関係の検証を目的とした分析ではないと書いています。

🔗 論文(計画行政・J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jappm/49/3/49_52/_article/-char/ja/