心理×気候不安/人と自然の関係の指標

2026-10-07

心理×気候不安/人と自然の関係の指標 図版1

自然とのつながりを強く感じている大学生ほど、ストレスは低く、それを通じて気候変動への不安も低い方向に関連していました。ところが、ストレスを通る経路を差し引いた、直接の関係では、つながりが強いほど気候不安は少し高かった。自然を大事に思う気持ちは、心を落ち着かせる側と、揺らす側の両方に関わっているように見えます。

Frontiers in Psychology に2026年9月に載った、中国・武漢の4大学の学部生918人の研究です。

測り方はこうです。

・自宅500m圏とキャンパスの緑の量は、衛星画像の植生指数(NDVI)で

・運動量は加速度計を7日間つけて測り、日誌で授業内と余暇に分ける

・自然とのつながり、ストレス、気候不安は質問票で

そのうえで、緑、運動、自然とのつながり、ストレス、気候不安のあいだに矢印の組み合わせを仮定し、それぞれの関係の強さを推定しています(構造方程式モデル)。

・自宅まわりの緑と気候不安のあいだに、直接の関係は見えなかった。余暇の運動、自然とのつながり、ストレスを通る間接の関係だけが残った

・気候不安との関係が強かったのは、授業内の運動より余暇の運動のほう

・自然とのつながりは、ストレスを通じては気候不安を下げる向き、直接には上げる向き。足し合わせると、はっきりした差は残らなかった

気候不安といちばん強く結びついていたのはストレスでした。

著者は、自然とのつながりにはストレスをやわらげる働きと、気候への脅威に敏感になる面が同時にあるのかもしれない、と解釈しています。ただ、1回の調査で同時に測っているので、これは関連で、どちらが原因かは分かりません。矢印の向きも研究者が仮定したものです。緑は量だけで、質は測っていません。

私が持ち帰りたいのは、「自然とのつながり」を、高いほど良い指標として扱うと見落とすものがあるかもしれない、という点です。自然体験を増やす施策がつながりを強めたとき、その人たちが抱える気候への不安にどう向き合うかは、別に考える必要があるのだと思います。

🔗 論文(Frontiers in Psychology・オープンアクセス)
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1948606