森の印象×ストレスの個人差/公園の使い方の設計

2026-10-10

森の印象×ストレスの個人差/公園の使い方の設計 図版1

森の印象が良い人ほど、直近2週間の気分の良さが高い。ただ、ストレスが高い人ほど、その結びつきは弱くなっていました。中国・張家界国家森林公園の来訪者300人への調査です。Frontiers in Public Health に2026年9月18日に載った論文です。

なぜこの研究がされたのか。森林浴や自然に触れることの効果は、多くの研究で示されてきました。ただ著者によると、結果は次の3点で割れています。

・効果の大きさと続く長さ

・森のどの性質が効くのか

・誰に効くのか

3つ目については、不利な状況にある人や治療中の人では効果が大きいというレビューがある一方、自然処方(医療や福祉の専門職が自然の中での活動を勧める取り組み)や屋外の身体活動のレビューでは、効果が弱い、または結果が一貫しないという報告もあります。著者が注目したのは、これまでの研究が「森のどんな性質が効くか」ばかり調べ、「人のどんな状態が効き方を変えるか」をほとんど調べてこなかったことです。

ストレスについては、正反対の2つの見方があり、どちらも検証されないまま引用されてきたと書いています。

・すり減っている人ほど回復の余地が大きいので、効果は大きくなる

・回復には注意や気持ちを切り替える余力が要り、ストレスはその余力を削るので、効果は小さくなる

調査は2025年10月、現地で声をかけた来訪者に、次の3つを答えてもらっています。

・森の印象:自然さ、静けさ、安全、回復する感じなど7つの側面(著者が新しく組んだ尺度、5点満点)

・ストレス:10項目の尺度(PSS-10)

・気分の良さ:過去2週間について、WHO-5(0〜100点)

森の印象が1点高いと、気分の良さは、平均的なストレスの人で21.5点高い関連がありました(あくまで関連で、森の効果の大きさではありません)。ストレス得点を平均より標準偏差(ばらつきの目安)1つぶん低く置いたときと高く置いたときの、モデル上の推定は次のとおりです。

・ストレスを低く置いたとき:印象が1点高いと29.9点高い

・ストレスを高く置いたとき:13.1点高い

どちらも正の関連で、高いストレスのほうが弱まっています。2つの見方のうち、後者に近い結果だと著者は読んでいます。

著者は、ここから来訪者のストレスに応じた3段階の案を出しています(検証していない設計案です)。

・低い人:自分で訪れる。静かな区域の保全など、環境を整える

・中程度の人:ガイド付きの回復プログラム

・高い人:医療機関と連携した、繰り返しの提供

留保も必要です。気分の良さは過去2週間、森の印象は今いる森について聞いているので、森がこの人たちの気分を良くしたとは読めません。著者自身、もともと状態の良い人ほど環境を良く評価する可能性を挙げています。1か所の公園での声かけ式の300人で、調査は1回きりです。

自然を勧める仕組みは、いちばん必要としている人ほど、ただ森に行ってもらうだけでは届きにくいのかもしれない。だとすると、自然処方を設計するときも、誰に、どこまでの支えをつけて勧めるかを一緒に考える必要がありそうです。

🔗 論文(Frontiers in Public Health・オープンアクセス)
https://lnkd.in/gQRuzJfM